清家農園みかん山通信(167号)令和7年2月号
三寒四温そのままに春を思わせる暖かい日が続いた後の真冬に戻った寒さに身体が驚いています。気ままに庭中にはびこっていた数百本の水仙が咲き始めていたのですがちょっと戸惑っているようです。その中の20本程を下駄箱の上に生けると玄関が水仙の香りに満たされ幸せな気分になりました。去年の今頃、初めて夫が花瓶に溢れる程の水仙を生けてくれたので、びっくりしながら嬉しかったのを思い出しました。思い出といえば、2.3日前に息子がスーパーから深い入れ物に入っているカットパイナップルを買ってきてくれました。その昔ケニアに住んでいた頃、道端で売っているのを面白半分に値切っては買っていました。一山5.6個程で日本円にすると100円ぐらいだったと記憶しています。毎朝お皿一杯食べていました。今思えば、値切らなければ、生活が掛かっていたパイナップル農家の人が喜んだのにと後悔しています。最近のパイナップルの思い出は、夫が癌センターに通っていた昨年、片道2時間半ぐらい掛かり日帰りはきついので病院の敷地内に有るひまわりというホテル仕様の宿泊施設に毎月泊まりました。食事付きではなかったので昼は病院内の食堂、夜は近くにあるスーパーで我が吉田町のスーパーの何十倍も有る各種お惣菜やお弁当、寿司、麺類、翌朝用にパンなどを夫婦2人で楽しみながら選んで買っていました。デザートにはいつもカットパイナップルを欠かしませんでした。その頃はほんの数カ月後に永遠の別れが訪れるなどとは思っていませんでしたので小旅行気分を楽しんでいましたが、そう思い込みたかったのかもしれません。ここまで書いてみるとまるで思い出の中で毎日暮らしているようですが、実際は次々とやらなければならない事が多過ぎて時間に追いかけられたり追いかけたりの毎日ですので、ふとした瞬間に匂いや音楽、景色、花鳥風月、食べ物、道具、etcが思い出とつながって一瞬切ない気持ちが込み上げてくるのです。そんな時は口角を上げて下手な歌を歌ったり、夫に話し掛けるつもりで独り言を言ったりしています。
年末はみかんオンパレード、寝ても覚めてもみかんオンリー。「あれっご飯食べるの忘れた」という毎日でふっくらお腹も少し凹んでくれました。年が明けてそれ程ではなくなりましたが、ミヒャエルエンデのモモちゃんに時間を取り戻してきてほしいと思う位相変わらずあたふたしているので、たまにダム湖の鴨や周囲の山々や流れる雲などを眺めながらウォーキングをするとすごく贅沢をしている気分になります。今の私にとって何が贅沢かといえば、ゆったりと好きなことに時間を使えることなのです。でも一番の贅沢は健康で家族揃って仲良く暮らせることでしょうか。幸せの感じ方は人によって異なります。たとえ小さなことでも幸せを感じることが出来る方が幸せと親しくなれる気がします。私の冬の幸せはお風呂です。お風呂に浸かって体を温めている時間は至福のひとときです。「これが温泉だったらなぁ」と思う時もありますが、「そのうちね」と自分をなだめています。だって世界にはお風呂どころか住む家や家族さえ無くしている人々が数え切れない程居るのですから。
一人前減らせず煮込むおでんかな