ホーム 2024 (令和6年) 2023 (令和5年) 2022 (令和4年) 2021 (令和3年) 2020 (令和2年) 2019 (平成31年) 2018 (平成30年) 2017 (平成29年) 2016 (平成28年) 2015 (平成27年) 2014 (平成26年) 2013 (平成25年) 2012 (平成24年) 2011 (平成23年) 2010 (平成22年) 2009 (平成21年) 2008 (平成20年) 2007 (平成19年) 2006 (平成18年) 2005 (平成17年) 2004 (平成16年) 2003 (平成15年) 2002 (平成14年) 2001 (平成13年) 2000 (平成12年) 1999 (平成11年) 1998 (平成10年) 1997 (平成9年) 1996 (平成8年) 1995 (平成7年)

清家農園みかん山通信(159号)令和5年12月号

  いよいよ12月です。若い方には実感が無いと思いますが、今流行の早送りの画面のように、1年がかくも早く過ぎてゆくものかと毎年12月になると心穏やかではいられなくなります。そんな人間にはお構いなしに、庭には華やかな皇帝ダリヤの花が見事に咲いていますが、自身の高さ巨大さに負けて隣の木に倒れかかっている花もあります。一方、隅っこの日陰には石蕗の花が蝋燭の灯火のようにひっそり咲いています。
 半導体やAI、ITの花形産業が巨万の富を得、貧富の差のスピードがものすごい勢いで増しています。世界中の政府の発行するお金には限りがあるので、想像を絶する巨万の富を得る人々が居れば一般庶民への分配が少なくなるのは自明の理。
自家用ジェット機の世界と軽四トラックの生活との差は計り知れないものがあります。
日頃当たり前のように使っているスマホやパソコン。解らないことがあれば、図書館に行って調べなくてもあっという間に答えが解り、欲しい物があればお店に行かなくても、次の日には品物が届きます。つまり誰もが意識しないうちにグーグルやアマゾンなどには莫大な利益がもたらされるようになっています。昭和世代の私など、この便利さの裏には大きな落とし穴が潜んでいるのではと心配になってしまうのです。
と、いかにも殊勝なふりをしていますが、かく言う私共清家農園も現在はホームページのお陰でみかんの注文を頂き産直をしています。つまりITの恩恵を受けているのですから偉そうなことは言えません。コロナ禍以前の45年間は夫がトラックで埼玉、東京へ行き、お客様と直接触れ合って販売していましたが、今は息子が栽培したみかんの出来具合に文句を言いながら、少し寂し気に倉庫でみかんの箱詰めをしています。
 テレビで、北極のイヌイットも南の小さな島もアフリカの内陸の村々も消滅の危機にあり、戦争に匹敵する程の気候難民が増えている現状を写していました。いつの時代もそれぞれ変化がありその流れのなかで人々は生きてきましたが、流れが急流になってきたと感じます。より便利に、より豊かにと突っ走ってきた時代を生きてきた者として、これからの時代を担う若い世代に対して後ろめたさを拭えません。
 北国では熊による被害が毎日のように報道され、南国愛媛のみかん園でも昼間から猪が跋扈する時代になってしまいました。宇和島市の高齢化率は40%に迫りつつ有り、少子化や高齢化がみかん園にまで影響を及ぼしていることを実感しています。夫は「地球にとっては猪や熊が人間に取って代わったってどうってこと無いのさ」と言っていますが、寅さんではありませんが「それを言っちゃあおしまいよ」ですよね。        
夫も私も高齢化率を押し上げている本人です。肉体は正直に衰えていますが、口だけは以前にも増して元気です。諦めたのかと思っていた「オーロラを観に行こう」を又夫が言い出しました。人には「希望を持つ」という特権があるので希望を捨てずにいたいですね。戦争を無くしたり、地球を大切にして暮らしたりする方向に向かって一歩ずつでも進みたいです。今月の蜜柑は夏の旱魃や虫や病気から蜜柑が実を守った為外観が悪くなりました。お詫び致します。 皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

しわ寄せを噛みしめている師走かな