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清家農園みかん山通信(70号)平成21年1月号

 新年明けまして おめでとうございます。皆様ご家族でよいお正月を迎えられたこととお慶び申し上げます。「何がおめでたいのか?」と言いたい人々が沢山存在する昨今ではありますが、ともかくこうして平成21年を生きて迎えることが出来ました事を感謝したいと思います。新聞、テレビを賑わす派遣村や空爆の話には、まるで時代が遠い昔に逆戻りしてしまったような錯覚を覚えます。あの派遣村に自分の息子がいるとしたら(紙一重で1月7日から福島の青年海外協力隊訓練所にいますが)自分の村や町が空爆されているとしたらと思うと心がズキズキと痛みます。「人は皆等しく幸せになる権利がある」という言葉が虚しい絵空事の時代になってしまいました。帰省してきた子や孫の世話で息つく間もなかった三ケ日でしたが、こんなささやかで平凡な事がとても有難く思えます。庭先の梅の蕾が日一日膨らんできています。人々はこの梅の蕾の様に幼い頃、まさか派遣村のテントの中でお正月を迎えるなどと想像もしていなかったことでしょう。何の屈託もなく遊んでいる可愛い孫達が、将来彼らの様に絶対にならないとは言い切れません。蕾が膨らみやがて花が咲くように、孫や世界中の子供達の未来が明るく花咲けるよう、私に出来得ることを真剣に考え行動しなければと思います。
 さて先ほどの「紙一重の君」は、蜜柑農家の最も忙しい昨年末、アメリカの大学時代5年間もルームシェアをしていたブルガリア人の友達E(現在アメリカ在住・IT関連企業に就職)が来日するので、神戸・京都を案内するということで周りの人間を色々な事でヤキモキさせつつ出掛けて行きました。「この円高の時に日本に遊びに来るなんてきっといいお給料貰ってるんだろうね」下種の勘ぐりと自覚しつつEのお給料の額を想像する私。2日後生八橋と日本酒をおみやげに、財布の中身0で帰宅した「紙一重」にやっぱり尋ねてしまった愚かなる母。それは想像を遥かに上回る額だった。我が清家農園が「紙一重の君」に支払っている20倍近くの金額だった。「それでサァ、Eと同じに色々支払いしたの?」「うん、1,2回ご飯ご馳走になったけどね。」何だか少し安心しました。そして、「同じ部屋に5年間も住んで同じ大学に通っていたのに何たる格差!」とは思うまいと、私自身に言い聞かせました。だって鳶から鷹は生まれませんし、育てたのは他ならぬ私自身なのですから。「紙一重の君」はショックを受けた風は微塵もなく(表面上だけであって欲しいと思わなくもない私)父親に怒鳴られつつ淡々と農作業に戻りました。
何故か私の子供達は皆、お金に関心が薄いのです。猛烈な働き者の父に力持ち以外では太刀打ち出来ない現在の次男坊ですが、早く「紙一重」を脱出して、清家農園をバトンタッチ出来る人になって貰いたいと願っています。この通信が彼の眼に止まったらまた怒るだろうと思いつつ、欲深で俗人の私は目の前に突きつけられた格差を書かずにいられませんでした。そして「これからは農業の時代だー!」と思うことにしました。
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心根を写して丸き冬の月