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清家農園みかん山通信(142号)令和3年1月号

 謹んで新年のお祝いを申し上げます。
去年今年貫く棒の如きもの       高浜虚子
めでたさもちうぐらいなりおらが春   小林一茶 
コロナ禍がくすぶるどころか燃え上がりそうな去年今年、お正月にこの二つの句が浮かびました。「貫く棒」を全く趣旨が異なるコロナに例えては、虚子さんに大変申し訳無いとは思いつつ実にピッタリ明瞭な表し方と思いました。「めでたさも」の方は今年のお正月は「あけましておめでとうございます」を何の屈託もなく言える雰囲気ではないことを誰もが感じていますので、一茶さんは「おらが春」ですが、正に「おらたちの春」のことを言ってくれていると思ったのです。地球に丸ごとラップを掛けられたような閉塞感に覆われた新年。75年間、戦争が無く平和が続いた日本で、災害や不幸に見舞われた方たちを除く、ほとんどの人達が初めて経験する緊張に満ちた新年。普段会えない遠方の親戚や家族が集い、話をし、食べ、笑い合うお正月。そんな当たり前が許されない現状。とは云え嘆いてばかりいても仕方ありません。戦争や大災害に見舞われても人々は生き延びるためにあらゆる努力をし、工夫をし、困難に耐え立ち向かってきたのですから。
4日の仕事始めには我が家もみかんジュースを搾るための選果作業が始まります。昨期のみかんはお陰様で味が良かったので、年末の発送作業は多忙を極め、清家農園一同エネルギーを使い果たした感がありましたが、「食っちゃ寝」の5日間でかなり蘇れた様な気がします。農業は地味な仕事ですしリモートでは出来ません。自然の猛威に打ちのめされても、食を担っているという喜びと自負がある限り、来年こそはと立ち上がれるのです。しかしながら立ち上がる術を持たない人々も世界中に沢山居ます。何か良くない事が起こると一番影響を受ける人々が、すっかり参ってしまう前にワクチンが浸透しコロナが収まり日常が戻って来て欲しいものです。コロナ禍が過ぎ去り日常が戻って来ても、多分、コロナ以前と全く同じ世の中と云う訳にはいかないのではと皆が気付いています。ほんとのみかん清家農園の営業係として生活の為、錆びた脳でうろたえながら1日中パソコンにしがみついている、アナログおバァの私など「コロナで益々拍車が掛かったIT社会のスピードに追い付いていけない」と言う事さえおこがましく、縋り付くことさえ出来なくなる日が近い予感がしています。今年は「ケセラセラ」と別府に湯治に行くことも出来ず、心密かに「コロナが収まったらこの埋め合わせに温泉三昧してやるぅ」と呟いています。
直接会って触れ合うという事がいかに人間の心を潤してくれるかを痛いほど感じた経験が、これからの世の中が良くなる方向への原動力になってくれたらと切に願っています。皆様どうぞご自愛ください。
2月は、はるみ ネーブル ハルカ 媛小春 伊予柑です。

うからやから集へる幸や福寿草