清家農園みかん山通信(137号)令和2年2月号
年末の疲れを引き摺りつつ、1月は結構忙しく仕事に追われ念願のお片付けも出来ぬまま日が過ぎてゆきました。鍼灸院に週一度通いコチコチの体を何とかなだめていましたが、このまま家に居ると仕事から離れられないので(仕事が楽しくもあるのですが)家から離れようと去年と同じ別府に月末から湯治に行きました。日本で一番長い岬、佐多岬の突端の三崎港まで1時間半、九四国道ファリー1時間10分で佐賀関港着。別府まで車で約30分。去年は海側のホテルだったので今年は山側の湯けむりエリア鉄輪温泉。ホテルの夕食は一人では食べ切れない程の量なので食事無しで予約しました。ホテルに着く前に翌朝食の買い出しにスーパーに寄りました。スーパーは中国からの観光客でいっぱい。呑気な私達はマスクもつけずに買い物。ホテルに着いて早速温泉に入り、くつろいでテレビをつけると新型肺炎の話題で大騒ぎ。「あれまぁさっきは中国人の人達と濃厚接触に近かったね、そういえばエレベーターや温泉の中でも中国の人と一緒だったね」ちょっと心配。でも後の祭り。お天気が大変悪く念願の散歩三昧は出来ませんでした。そこで2日間は温泉三昧。食っちゃ寝ではなく食っちゃ温泉でした。4日目はホテルが満室で予約が取れなかったので仕方なく民宿に予約していました。山程の小説と歳時記、みかん代請求金額の計算の為の送り状の束と計算機、入金チェックの払込票等仕事ずっしり紙袋。日常は山の上で会う人もないので倒れたら困るようなひどい普段着姿、お出かけの時にと思ってタンスに眠らせていた服をこれでもかと詰め込んだ鞄。グダグダするときのお菓子と沢山のみかんと夢(紅まどんな)、お歳暮で頂いたハムの塊、りんご、それらを切るための小さなまな板、冷蔵庫に沢山溜まっていたヨーグルトと納豆も便秘しないようにと詰め込んだ大きな袋。家ではちっともやらなかった術後のリハビリ用の呼吸練習の器具。筋肉の衰えを防ぐ体操用のゴムのタオル。旅慣れているなんて偉そうに思っているくせにまるで引っ越しのような大荷物を携えてのホテル移動。恥ずかしかった。民宿HIROMIYAの前に着いてびっくり。あまりに古いし八百屋さんぽい。(実際元八百屋さん今は事務所兼フロント兼ロビー)出迎えてくれたのは普段着の化粧っ気無し五十絡みの笑顔良し女将さんとアジア系国籍不明の男の子(ベトナム系カナダ人との事)。この二人が親切緩やか何とも言えない温かい雰囲気お人柄で、会った瞬間この宿が好きになりました。部屋は裏の3階建の家。外見よりずっときれいで1月にリニューアルしたばかり。台所には各種飲み物や台所用具一式、隅には手洗い洗濯用大きな洗面台と洗濯機、洗濯挟み迄あり、冷蔵庫エアコン洗面台すべて新品でした。朝部屋の入口の子供用椅子の上に地獄蒸しの卵とさつま芋がそっと置かれていました。その美味しいこと。近所にある沢山の温泉の特徴や散歩コースや美味しいお店等色々と教えてくれました。家族の話、今迄どういう道程を経て暮らし現在に至ったか迄話してくれて、まるで長年お付き合いしてきた友達みたいでした。台所で会った同宿のフィリピンから来た女の子は大学教授になるつもりで勉強中と言っていました。隣の店子はこれまた国籍不明実は日本人、ベルギーのアントワープの美術学校出の絵本作家のお店。不思議な味のほんわか絵本、孫のあっくん宛に絵とサインまでして貰い2冊お買い求め。地元のおばちゃんのご指導の元おずおずと入った100円や無料の古い温泉、迷子や湯疲れになりそうなほど数多くの珍しい湯船のある広く新しい温泉。温泉巡りに忙しく、思っていた半分も読書も事務仕事も作句もせずでしたが、帰宅を1日伸ばしてしまったほど楽しい1週間でした。
今日は現実のいつもの日常に戻ってせかせかと働いています。3月はせとか はるか、 ジュースです。
湯けむりの路地抜けゆけば不意に梅