清家農園みかん山通信(101号)平成26年2月号
ここ二、三日暖かい雨が降ったせいか、庭中の水仙が湧き上がったように咲き揃い、梅が「あら、私も」と蕾を開き、日陰の菜の花も負けじと精一杯明るく咲いています。庭に出ると水仙と梅と菜の花の香りの饗宴。2月になりました。何故か例年の半分程きり渡って来なかったダム湖の鴨達もそう遠くない旅立ちの日を前に英気を養っている風です。きっとまた何回か寒い日が戻って来るのでしょうが、風や光や空気の中に春がそっと潜んでいる気配がします。勤勉で優しく規則正しい自然の営みに比べ、怠惰で合理性に欠ける私には例年の「魔の青色申告」が待っています。申告書を提出した途端「終ったー」と青色申告など銀河系の彼方に忘れ去った挙句、その報いで1年後には泣かねばならないのです。我ながら「毎年よく懲りずにこのていたらくを繰り返すことよ」と感心してしまいます。一昨日もパソコン上の農業簿記のボタン一つを間違って押した為に数字が消え失せてほとんどパニック状態に。土日を挟んでいたので一人でああでもないこうでもないとパソコンの前で悶々と悩みました。月曜日農協の指導員さんに電話してやっと原因が判り胸をなでおろしました。然し戦いは途に就いたばかり、独り言、泣き言を連発しながら申告書まで辿り着かなければなりません。たかが知れた青色申告如きに毎年大騒ぎしているおばさんに比べるべくもありませんが、新聞紙上に素晴らしい女性達が紹介されていました。残念ながら日本人はいませんが、「国連最強の機関」と呼ばれ世界の平和と紛争解決を協議する安全保障理事会の国連大使全体の3分の1が女性に占められたとの記事に勇気を貰いました。世界の平和のためにしっかり働いていただきたいです。思わず「家の片付けはお手伝いさんを雇うのかな」などとつまらぬ疑問が頭をよぎりましたけれど、これからも能力のある女性にはどんどん世界で活躍して欲しいものです。もう一つの朗報。リケジョ(理系女子)弱冠30歳の小保方晴子さん率いる研究チームが多能性幹細胞「STAP細胞」の作成に成功した事です。「何度も泣き明かした夜があった」と素直に語っていましたが、くじけないで、諦めないで、地味な研究を地道に続けた彼女の努力と粘り強さとひらめきに脱帽です。誰でも出来ることではありませんが、自分の努力の足りなさを棚に上げて、日々様々なことを諦めて馬齢を重ねてきた凡人としましては「しっかりしなさいよ」と肩を叩かれた思いがします。世界に羽ばたけない私としてはせめて青色申告を速やかに終わらせ、年初からの願いである片付けに取り掛かりるつもりなのですが、昨年の11月からほとんど家に籠ってパソコンと電話の番と事務仕事と倉庫での箱詰め作業の日々ですので、たまにはみかん山へ行って青空の下で汗を流したいなあ、、、「仕事を口実に片付けから逃げてはなりませんぞ」と天の声。何というちっぽけな日常。でもこの頃、ちっぽけなりに日常を大切に積み重ねていかなければいけないのではと思うようになりました。もしかして利口になったのかも!単なる歳のせい?
みかん山借景にして三十戸